Sine with Dwell試験

 

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Figure 1. ESC非搭載でSine with Dwellプロシージャに失敗する車両。クリックすると、詳細をご覧いただけます。

多くの国が、新規車両における横滑り防止装置(ESC)安全システムを必須としています。米国では、2011年9月以降に販売されたほぼすべての車両にESCの搭載が義務付けられ、2007年に発令された規制FMVSS 126を順守しなければなりません。FMVSS 126の要件は、EU諸国および多数のアジア諸国に適用される国連のECE R13Hに概ね盛り込まれました。FMVSS 126 およびECE R13HはどちらもSine with Dwell手順を用いた試験プロシージャを定義します。ESCが搭載されていなければ、ほとんどの車両が試験に失敗します(Figure 1)。

OEMは、両規制を順守するためにSine with Dwell手順をシミュレーションします。FMVSS 126の場合、OEMには米国で販売される車両が試験をされた場合、いずれも指定されたプロシージャに通るという確信が必要です。この確信を得るため、試験とシミュレーションの組合せを実施します。ECE R13Hの規制の場合、シミュレーションが実車試験結果との比較を通して検証済みであれば、一部車両に対しシミュレーションの使用を明確に許可しています。

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Figure 2. Sine with Dwellの波形。クリックすると、詳細をご覧いただけます。

2007年にFMVSS 126が発令されたすぐ後、Mechanical Simulation社はCarSimでの使用に向けた技術メモと事例ランを掲載しました。それ以降、OEMはシミュレーションを使用してFMVSS 126とECE R13Hの両方を順守する経験を重ね、CarSimはこの一連の試験のシミュレーションを簡便にするため、より多くの内蔵プログラミングを提供するようさらに開発されました。8.0以降のすべてのCarSimバージョンは、Sine with Dwell 事例がインストールされた状態で提供されています。

使用した手法を解説する技術メモをご覧いただくには、ここをクリックしてください。(34頁のPDFファイル)。

プロシージャの概要
FMVSS 126は、2007年4月6日刊行の連邦官報第72号66番の一部である88頁の文書に記述されています。規格(571.126)自体は6頁に渡って(17310頁–17315頁)提示され、試験をシミュレーションするために必要な記述はわずか数段落に示されています。

徐々に操舵を増加
シミュレーション試験のプロシージャは、80 km/hの速度で操舵角が13.5 deg/sの比率で増加する状態での、0.3gの横加速度に関連するハンドル角Aを決定するための「Slowly Increasing Steer Test(徐々に操舵を増加する試験)」から始まります。

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Figure 3. ESC搭載車両の一連のすべての試験。クリックすると、詳細をご覧いただけます。

実車試験を通して実行される場合、反時計回りの操舵に対し最大0.5 gの横加速度までの試験を3回繰り返します。各試験で横加速度がちょうど0.3 gの時の操舵角を線形回帰を用いて計算し、3つの結果を平均します。時計回りの操舵についてもシーケンスを繰り返し、2つの方向で得られた絶対角を平均してAを求めます。

Sine with Dwell試験
「Sine with Dwell」試験では、Figure 2が示す波形のように、操舵あるいはブレーキが適用されていない状態で80 km/hを若干超えるまで車両速度を上げ、最も高いギアで80 km/hに蛇行させ、そこからロボットを用いてステアリング制御を適用します。2つの一連の試験は(1つは図に示すように最初は正の操舵、1つは符号を逆にしたもの)、この波形で実施されます。最初の試験では、波形は1.5•Aでスケーリングされます。

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Figure 4. ESCシステムのSimulinkモデルで実行中のCarSim。クリックすると、詳細をご覧いただけます。

2つの一連の試験は(1つは図に示すように最初は正の操舵、1つは符号を逆にしたもの)、この波形で実施されます。最初の試験では、波形は1.5•Aでスケーリングされます。車両が試験に通ると、次の試験では振幅が0.5•Aのインクリメントで増加されます。振幅が270 degより大きくなると、一連の試験の最終ランに到達します。(また、振幅デルタが300 deg より大きくなると、最終ランの振幅が300 degに低減されます)。

一連の各試験の成功または失敗は、操舵開始時に相対する固有な3つの時点の車両の状態に基づきます:

  1. ゲインが5.0以上の場合、1.07秒時に横変位チェックが実施されます。車両質量中心の横変位は、GVW(車両総重量)が3,500 kg以下の車両の場合、試験開始時と比較して1.83 m (6 ft) 以上でなければなりません。変位がそれよりも小さい場合、車両は試験に失敗します。GVWが3,500 kgを超える車両の場合、必要となる横変位は1.52 m (5 ft)です。
  2. 試験のためにピークヨーレートが求められます。操舵停止後1.0秒の瞬間ヨーレートがピークレートと比較され、ピークレートの35%以下でなければなりません。瞬間ヨーレートがピークヨーレートの35%よりも高い場合、車両は試験に失敗します(例:Figure 1)。
  3. 操舵停止後1.75秒の瞬間ヨーレートがピークレートと比較され、ピークレートの20%以下でなければなりません(S5.2.2、Fig. 1を参照)。瞬間ヨーレートがピークヨーレートの20%よりも高い場合、車両は試験に失敗します。

車両が各方向の最終ランまで試験され失敗しなければ、車両は試験に通ります。例えば、Figure 3はESC搭載車両のすべての試験(両方向)に対して取得されたプロットを示します。Figure 4は、プロシージャに対しCarSimで実行されているESC搭載のSimulinkモデルを示します。